乳がん予防介入研究

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 乳がん検診について

現在本邦における乳がん検診は、視触診とマンモグラフィ検診を中心に行われており、2000年から厚生労働省が乳がん検診の方法としてマンモグラフィ検診が標準であると通達してから、徐々にマンモグラフィを用いた検診を受ける人が増えてきています。名古屋市でも、40歳以上の女性に対して2年に1回の乳がん検診を実施しています。そのほかの自治体でも、ほぼ同様に検診を実施しているところが多いようです。
また、職域検診では超音波検査を選択できるところもあり、その場合にはマンモグラフィと超音波検査のいずれも併用、または交互に行うことがよいでしょう。


検診によるメリットは、ご自身でしこりを自覚して初めて医療機関を受診し、がんと診断されるよりも、比較的低いステージでがんをみつけることができることにあります。ステージが低いほど、つまりがんをできるだけ早期に見つけることによって、完治できる可能性も高くなります。
特にマンモグラフィは、触診では触知できず、しこりがないため超音波では写りにくいような、石灰化(カルシウムの凝集したもの)のみの早期の乳がん病変を見つけることに優れています。

 逆に、デメリットとしては、マンモグラフィに関しては疼痛、放射線被爆があります。放射線被爆の量としては、縦方向と横方向の二方向で撮影した場合、およそ0.5mSvから0.7mSvとなっています。マンモグラフィ撮影によって早期乳がんを発見できるメリットは、被爆による健康被害を受けるデメリットを上回っていることが証明されており、マンモグラフィを受ける意味は十分にあると思います。

 

 また、これは超音波検査にも言えることですが、検診の「偽陽性」(陽性、つまりがんが疑われたが、結果はがんでなく良性だった)の可能性もあります。検診によって乳がんも良性の病変もいずれも可能性があるようなしこりや影が見つかった場合、要精密検査となります。精密検査で良性であれば一安心ですが、結果が分かるまでの間の精神的苦痛や、検査にかかる費用や生検に伴う痛みなどの肉体的苦痛を考えると、偽陽性はデメリットとなります。

 また、検診によって、治療しなくても命にかかわらないような微小な乳がんを発見し治療に至った場合、結果としては治療が不要であった、「過剰診断」となってしまう可能性もあります。
「偽陽性」や「過剰診断」はとくに超音波検査を併用すると多くなることが報告されており、現在では超音波検診は必要や希望があれば行う任意型検診として行うことは可能ですが、対策型検診としてすべての女性に行うことは推奨されていません。

検診全体 マンモグラフィ 超音波
メリット 早期発見しやすい石灰化に強い微小結節を見つけやすい
デメリット 費用が掛かる
偽陽性
過剰診断の可能性
痛みがある
放射線被爆がある
偽陽性が増えやすい
精度管理が困難
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